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poetry


ガラスケースのなかで / In the Glass Case
月はセーラームーンで 自然はトトロだった 人間社会に生まれ育つ 平らな地球 ガラスケースのなかで 「世界」は社会で 彼女は世界が怖かった ガラスケースのなか 空はたしかに美しく 夢中で雲撮るインスタントカメラ 写真を愛でる ことなんかなくて 雑木林で用水に遊ぶ 落ち葉のベッド 煮干しでザリガニを釣る 小さな白い富士はもう見えない 砂利石のコロッケ 泥のクッキー 太陽で焼く 股を泳ぐアオダイショウ ザリガニ溢れた水槽は やがて緑の苔の箱 「世界」は社会だった 「世界」がこわかった あるがままで なんて言葉 知らなかった その空気は、seriousness ちゃんと、しっかり、真面目にね 真剣に、努力して、頑張ってね 出来る、イケてる、さすがだね ガラスケースのなか 開け放した縁側 かかることない鍵 風はたしかに通り抜ける 裸足の暮らし 母に触れていたくて 父の背中が好きだった 駅に降り立った友は ゴムの匂いがすると言った 世界は社会だった 戦後拓かれた区画整理 生命に保険 畑は四角にカットして分譲の地 見上げる君は菩薩の微笑み 先祖の墓は彼方 新た

miwo
3月23日
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