それは父の木、太陽の木
4 日前
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あの日止まったサイレン
窓の外
広がる闇に
光る赤灯
誰かの父で
誰かの息子
グレイヘアで仮払い機
なぜか掛かる絨毯フェンス
広い庭は植物の園
紅葉に藤に に躑躅
ひときわ大きく空へと伸びる
それは父の木
太陽の木・楠
2階窓を越え 瓦屋根もゆうに越えて
こっちが本当のお屋根です
それは父の木
太陽の木・楠
大きな腕は 四方に伸びて
立派な手指 八方に広がる
お家を家族を護るんだ
鳥たち憩うよ 中継地点
空まで届くよ らーらららー
背丈ほどの石 くり抜いて仏様
仏炎苞の祈り ここに
あのサイレンの夜から
その姿 見ることはなかった
誰かの父で
誰かの息子
葛の蔦が 家を 飲み込んで ゆく
絨毯フェンス お風呂の窓 瓦屋根
黄緑色が 焦茶色を 覆って ゆく
風が吹いて
揺れた
それは父の木
太陽の木・楠
その腕に抱かれて
その手指に護られて
鳥たち今日も 高らかに歌う
らーらーらららー
ららるりらー
ある朝 響く
唸るチェーンソー
あーあーあああー
あああああー
やめてこわいようるさいよ
いてもたってもいられない
どんっ ぼんっ
ひとつまたひとつ
太い枝が地面に落ちるのを見た
あーあーあああー
あああああー
やめてこわいようるさいよ
いてもたってもいられない
風が吹いて 振り返る
風が吹いて 揺れていた
積まれた木片と
残る一枚の壁のあいだ
もう扉も窓もない
剥き出しになった玄関で
長いタッセルが
風に吹かれて 揺れていた
コブシの向こうに
日が暮れる
寒露を迎えて 葉は落ちて
あの木の不在に日が暮れる
太陽の木 父の木・楠
みんなはどこに いったのか
ちっちっちちち
ちっちちち




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